間伐材(かんばつざい)という言葉をご存じですか?

間伐材(かんばつざい)という言葉をご存じですか?

 

POLO森林部より~

 

 

POLO BCSには、アパレル事業のみでなく“150年の森林(もり)づくり”をテーマとする森林部の吉野林業事業が存在します。

世界最古と言われる吉野林業地の東吉野村を中心とする「POLOの森」にて、“森林の持続可能な管理”を⽬指して日々活動しています。

 


 

間伐材とは?

 

ところで皆様は「間伐材」という言葉をご存じですか。

間伐材とは、森林が成長する過程で樹木が密集しすぎてしまい、間引きされる木材の事を指します。

↑作業道を敷設して重機とダンプを使って間伐を行うポロの森

 

間伐を行うと、これまで枝や葉に遮られていた光が地表に届くようになり、成長が滞っていた植物が成長を促進されるようになります。

間伐作業は、未来に繋ぐ明るく健全な森林づくりをする上でとても重要な作業ですね。

そして、間伐材を有効に活用しビジネスに繋げる事は、持続可能な循環型社会構築事業の一つと言えるでしょう。

 

上図は今回間伐するポロの森。前回時よりも(当然ですが!)木が成長して大きくなり、素性の良い杉桧になっていました。

 

間伐して出荷する立木には赤テープが巻かれています。

そんな間伐材ですが、山から切り出した後はどのように流通されるのでしょうか。

これからそのご紹介をしたいと思います。

 


 

優良木材の出荷

 

間伐で切り倒した木材は、一定の材長に切断する“玉切り”と呼ばれる作業を経て丸太となります。

どの部分をどの長さで切断するかは作業者が判断しますが、その後の値段や使われ方が異なってくるので技量が求められます。

玉切りした木材は株元のほうから元玉(もとだま)、二番玉、三番玉と上の方に向かって名前がつけられます。

 

上図は、玉切りした間伐材を現場から林業ダンプで搬出しているシーンです。

 

下土場まで搬出された元玉と二番玉を大型トラックに積載し、柱材を作る製材所の近くにある原木市場へ運び、セリにかけて販売します。

間伐材の価値が審査される時ですね。緊張の時間です。

それと並行して、すでに御注文頂いている適材をまた大型トラックに積み込み、直接製材所さんへも販売します。

8メートル越えの長尺材や、市場からの注文材、二番玉を大手林業会社の原木市場へ運び、これもセリにかけて販売します。

このようなルートを経て、間伐材が商品として市場に卸されます。

まずは第一弾ですね!

 


 

 二番玉以降、曲がり材など

 

そして、元玉、二番玉を運び出すと間伐材の半分以上が無くなります。

後は二番玉より細い部分、曲がりや腐りのある部分、穂先や元曲がり材が残って来ます。

市場向きでないこれらの小径木は、小丸太や杭等を扱う製材所へ販売されます。

杭丸太は、植木の支柱材(造園・緑化資材)として公園等で目にされることが多いですね。

こうして順々に各市場に材木が卸され、その後には曲がり材や特別な丸太が残ります。

 

この特別な丸太や曲がり材でも綺麗な曲がりの丸太は、自社製材所「おおかみ舎」で皮を剥ぎ、用途別に加工して、再び林内にて乾燥を促します。

上図の木材は『梁、柱用林内乾燥材』として保管しているもの。

主に工務店さんのリフォーム用木材としてに加工、乾燥をかけておきます。


 

欠陥材・端材

 

そして、その後さらに残った曲がりや腐り等の欠陥材。

その欠陥材も木工品や薪を取るなら最高の部材になります!

 

最適な元玉の曲がり、腐りを取った端材までしっかり搬出して薪や木工品用として使い切ります。

 

 

暖炉屋さんへの大量納品は、パレットに入れて出荷。

この薪は当社林業部の工房「おおかみ舎」でも直売をしています。

 


 

最終の木材

 

そして、それでも残った木材は...

 

皆様の使う電気になってもらう様に、チップになり、バイオマス発電用燃料になってもらいます。

ただし、これは本意ではありません。

むしろ私たちはバイオマス発電所向けの材を極力減らすための活用を日夜考えています。

なぜならば、近年の過度な木質バイオマス発電所の建設には、安易で乱暴な皆伐促進や山が荒れることによる自然災害の増加にもつながる事も多くなると考えているからです。

林業事業体の参考になるような、発電用材だけでない事業の多角化に必要なアイデアをない知恵を絞って考え続けています。

 

 自社工房「おおかみ舎」


 

枝や葉の活用

 

そして…

残るのは枝や葉っぱです。

これも全てとはいきませんが、自社で販売しているアロマ用の精油や蒸留水に姿を変えてもらい、ブレンド等精製してお客様の元へ!

枝も葉も出来る限り全ての原料を使い切りたいと思い、工房内に蒸留器を導入しました。

前述の写真に写る自社工房“おおかみ舎”にて日々奮闘しながら制作中です。


 

最後に・・・

 

当社が間伐している自社林の木は、殆どが人の一生よりも長く生きます。

我々が生まれる前から吉野に誕生し、先代杣人達が汗をかきながら大切に育てられて来た木達です。

その中から間伐として絶命させ、頂いた木の命を出来る限り無駄にならない様に使い切ることは我々の使命だと感じています。

時代が進んでも、技術やテクノロジーでは取り返せない

『その木にかけた時間と手間』

の価値。

 

大切に使ってあげたいと思っています。