トラディショナルは「制約」の中で磨かれる
生活文化の中には制約やルールがあってこそ、磨かれ洗練されるものがあります。日本では「5・7・5」で表現される俳句。これも制約のたまものです。
松尾芭蕉の像
俳句は、かたちを変えて世界で親しまれています。(日本語ではないので「5・7・5」ではありませんが)。
千利休の茶道。日本の生け花。世界で人気の「盆栽」も制約の中の美学と言えるでしょう。
無駄の無い、茶道具の美学。侘びさび。
盆栽の美学は世界にファンをつくっています。
縛りがあるからこそ、その中に宇宙や進化を見出し、新しい美学を求めようとするわけです。
「制約」と、すこし感覚は異なりますが、デジタルの時代にアナログ感を好む傾向も、興味深いものがあります。スマートフォンやデジカメ時代にあって、高級フィルムカメラの同好会が目立ちます。「中古カメラ・フェア」などは多くの人々を集めています。
<a href="//commons.wikimedia.org/wiki/User:Rama" title="User:Rama">Rama</a> - <span class="int-own-work" lang="ja">投稿者自身による著作物</span>, CC BY-SA 2.0 fr, リンクによる
また若い人にも人気を呼んでいる、LPアナログ・レコードの復活。これは、ある種の「不便益」が、人々に面白さを感じさせ、心地よい「ゆらぎ」の概念を内在させているからでしょう。
近年、爆発的リバイバルのLPレコードとプレーヤー
ガチガチのルールではなく、ルールのそばにある「グルーブ感」。譜面どおりでない、心地よい完成形。こんな世界観も、いま求められています。
これはファッションで言えば「トラディショナル」と言えます。一方、近似の言葉に「クラシック」があります。これは「クラス・ナンバーワン」を内在しています。クラシック音楽がその筆頭ですが、ナンバーワンより「音楽形態」を指しているといえます。
1806年創立の英国最古のテーラー。今も進化しています。
さて、トラディショナルの意味は「伝統的」です。それは古いのでしょうか。古くはありません。いわば、ある時代が造った磨かれた伝統的スタイルです。
「トラディショナル」という言葉の中で、時代に合わせた進化をしています。
その昔、ファッションは貴族のものでした。そして英国で産業革命が始まり、服装の革命も起きました。服装の市民革命です。女性もコルセットから解放されました。男性もフロック・コートからの解放です。
パブリック・ドメイン, リンク
Fashion (magazine) - Men's Fashion Illustration form the Turn of the Century. Reprint by Dover Publications, 1990. <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/Special:BookSources/0-486-26353-3" title="Special:BookSources/0-486-26353-3">ISBN 0-486-26353-3</a>. Originally published New York : Jno Mitchell Co. 1910, パブリック・ドメイン, リンクによる
19世紀後半まで女性はコルセットで締めあげられ。紳士はフロック・コートでした。
その後、今のスーツの原形のラウンジスーツが一般化。
紳士オーダースーツの台頭。そして既製服。軍服の進化や作業着の定着。一般市民のオフィスウエアとしてのスーツ。遊び着としてのジャケット、あるいは生活着。そして英国、や米国の学生衣料がモチーフになりました。
UCLAのキャンパス。英国、米国の学生の生活スタイルから多くのヒントを得ました
こうした中でスタイルとしての「トラディショナル」の概念が定着しました。
トラディシュナル・スタイルの象徴的アイテム。テニス選手のウイリアム・チルデンの名を取った、通称チルデンセーター。
60年代になると、わが国でもステイタスとなったポロシャツが流行りました。また若者の間で「バッシュ(バスケットシューズの略語)」といわれたスニーカーも人気を呼びました。この流れから「ヘビーデューティ―」など、アウトドア・ファッションも生れました。
ライフスタイル・ファッションの定着です。
生地がベルギーの街の名に由来する「ダッフル・コート」厚地の生地が寒さを防ぎ、これが英国海軍で使用されることになりました。
横浜の女子大学から生まれた「ハマトラ」。若く、はじけ感の「プレッピー(名門私立高校)」ルック。などもトラディショナルの派生形といえます。
ハマトラの誕生地 横浜元町
「伝統は常に磨かれる」そして「伝統は常に進化する」。 私達も心地よい誠実な商品づくりを目指します。 伝統的でしかも永遠に新しい。POLO BCSは、ブリティッシュ・カントリー・スピリットの心とともに、トラディショナル・ウエアリングを磨き続けます。